2015-01-01から1年間の記事一覧

三位一体(3)

前回話したように,この世界は三位一体的に捉えることが出来る。その世界と合わせ鏡のように出来ているのがコトバのシステムであることを考えると,コトバのシステム自体が三位一体的なものを自己言及的に反映しているのではないか? また,同時に,語源全体…

三位一体(2)

前回の「合わせ鏡」の例から何となく分かるのは,自己言及的ルール(システム)には増殖(これを差異の反復と呼ぶ人もいる)が発生するということだろう。実は,自己言及的基本ルールを「父=神」,増殖を「聖霊」と見ることが出来て,三位一体の哲学に自然に…

三位一体(1)

前回は,現実の物理現象の背後には「自己言及的」なルール(システム)があるのではないかと話した。しかし,これは現実の世界では在り得ないことでもあり,そのためこの基本ルール(システム)は観測不能ということに必然的になると思う。あるいはこの世界…

非対称な時間の流れと偶然性(2)

前回に引き続き,現実の物理現象が何故,決定論と偶然性(決定論とは真反対)が入り混じったようなことになっているのだろうか?これについて考察したい。 この辺りは,哲学的というか,禅問答のようでもあり,いい加減なことを言うなと思われる方もいらっし…

非対称な時間の流れと偶然性 (1)

前回取り上げた宇宙のメカニズムは,時間とは何か?確率性(偶然性)とは何か?ということと関わって来る。物質の世界では,この宇宙はビッグバンから始まり,それからしばらくしてクォークやレプトン(とその反粒子など)が生まれる。宇宙全体が膨張し冷え…

印欧祖語(3)

前回書いたように,語源の分析を押し進めていくと,印欧祖語まで遡れるわけだが,そこまで行くとその存在性がはっきりとは考古学的・文献学的に確認出来ない(直接観測が難しい)。そして,そのことをむしろ面白いと言った。何故なら,全体論と要素還元主義…

印欧祖語(2)

ジョーンズは,1786 年にカルカッタ王立アジア協会において,印欧祖語のアイディアを講演したのだが,その後,それ以上の研究をしたような形跡はない。 その代わり,ドイツ人言語学者フランツ・ボップ(1791-1867)などの後続の研究者たちによって,比較言語…

印欧祖語(1)

語源のところで説明したように,英単語の語根(意味の中心)はラテン語・ギリシャ語が大多数を占めているが,それでも6割くらいではないかと思う。では,残りの4割はどうかということもかなり気になるだろう?実は,ラテン語・ギリシャ語も含めて,多くのヨ…

全体論と要素還元主義(3)

前回に引き続き,もう少し原子の内部の話をしよう。陽子と中性子が究極の粒子(つまり素粒子)かと言えば,どうもそうではないことが分かって来た。内部構造があるのだ。アイザック・フリ―ドマン(1930-),ヘンリ-・ケンド―ル(1926-1999),リチャ―ド・テ…

全体論と要素還元主義(2)

物質を原子に分割する話に戻ろう。最初は,これで物質の性質もより単純な原理で説明出来るようになると考えられていた。ところが,はじめは数種類しか見つかっていなかった元素が,あれよあれよいう間にどんどん発見されて行ったのだ。元素のインフレである…

全体論と要素還元主義(1)

前回まで説明したように,英単語の理解には,ラテン語・ギリシャ語や接頭語・接尾語などの各パーツに分割して捉えることが,非常に有用である。これは例えて言えば,色々な物質を分析していくと原子・分子の各パーツに分割されることに似ている。実は,ラテ…

代表的接頭語(2)

前回に引き続き,代表的接頭語と具体例を見てみよう。 (7)dis-(or di-, de-)=「反対;否定;除去;奪取;分離;低下」の意 これは,もともとdwo-(=two)という印欧祖語から派生しており,二者の間で意見が割れたり(反対・否定),一人がもう一人から物を移…

代表的接頭語(1)

今回は,代表的な接頭語を紹介しながら,その具体的例も見てみる。 (1)ab-=「離れて;遠くへ;欠如して(=off, apart, far from)」の意 :abnormal=ab- + normal(普通の)=ab- + gnōmōn(ギリシャ語“定規;規則”) =異常な (2)ad-(or ac-, a-)「移動・…

語源とは(3)

一般的に複雑で長い英単語は以下のような構造になっている。 接頭語+語根(意味の中心;ギリシャ語・ラテン語など)+接尾語 例として,discoverer[diskᴧ́vərər]*1 (3)深入りさせる (4)責任ある立場に立たせる;苦しい立場におく (5)(~oneselfの形で…

語源とは(2)

他にも,次のような例がある。arrive(到着する),derive(由来する), river(川),rival(競争者)という単語たちは皆共通の部分を持っている。全て,rivusというラテン語が共通に単語の中心部分を成している。意味は「川,流れ」。river はそのままで…

語源とは(1)

雑誌「Between」のある記事で,英単語を語源に分解すると分かり易いということが紹介されていた。あまりはっきりとは覚えていないが,具体例を何となく挙げてみよう。例えば,telephone(電話),television(テレビ),telescope(望遠鏡),telegraph(電…

きっかけ

語源と数学に興味を持ったのは、今思えば当時福武書店から出版されていた「Between」という高校生向けの雑誌だった。この雑誌はある数学者と歴史学者が共同編集していたものだった。 雑誌のテーマは中世の歴史と哲学である。 その中でラテン語やギリシャ語の…