語源とは(3)

一般的に複雑で長い英単語は以下のような構造になっている。  

接頭語+語根(意味の中心;ギリシャ語・ラテン語など)+接尾語

例として,discoverer[diskᴧ́vərər]*1

(3)深入りさせる

(4)責任ある立場に立たせる;苦しい立場におく

(5)(~oneselfの形で)(言明・約束などを与えて)わが身を縛る;責任を引き受ける;全面的に乗り出す;身動きできなくなる;苦境に立つ

辞書に出てくる順番で並べて見た。学校では大抵(1)(2)の意味しか習わないので,どうも意味のつながりが分からないまま機械的に覚えてしまうように思う。しかし,これらの意味群全体を眺めていると,(3)の意味が一番大本で,他はこれから派生したものだと見えて来ないだろうか?辞書に出て来る順番は,頻出順なのだろうと思うが,これでは木を見て森を見ずになってしまう。これを最初から語源的に分解していれば,こんな見落としはしないで済む。commit=com-(「完全に」の意) + mittere(ラテン語“送る;行かせる;放棄する”)=徹底的に任せる=深入りさせる;委任する という風に自然とニュアンスが掴める。

*1:名)発見者)という単語を分析すると,dis-(「分離・除去;反対・非」の意) + cover(包み;覆い) + -er(「~する人」の意)=覆いを取り除く人=発見者 となる。こうすると途端に単語本来の意味が分かり易くなる。丁度,漢字を偏と旁に分けるようなもの。そして,いずれ詳しく説明したいのだが,語根の部分がギリシャ語やラテン語よりもっと原初的な語源(印欧祖語)に遡れる。更には,二つ以上の語源が合体して一つの語根を作っていることもある。

また,単語の中には非常に多義的な(意味がたくさんあって,しかも,それらが互いに関連がなさそうに見える)単語が少なからずある。そのような場合こそ,上のような分析によって漸く,その単語の本来のニュアンスを掴む事が出来る。1つの具体例を見てみよう。

<例1>commit[kəmít] には,以下の意味がある。

(1)(罪・あやまちを)犯す (commit a crime)

(2)委任する;委託する(→committee(委員会