全体論と要素還元主義(3)

前回に引き続き,もう少し原子の内部の話をしよう。陽子と中性子が究極の粒子(つまり素粒子)かと言えば,どうもそうではないことが分かって来た。内部構造があるのだ。アイザック・フリ―ドマン(1930-),ヘンリ-・ケンド―ル(1926-1999),リチャ―ド・テイラ―(1929-)らによって実験的に示された(彼らはその業績によって1990年にノーベル賞を受賞している)。実は,陽子にも中性子にも,内部にはクォークと呼ばれる3つの粒子があって,それらが陽子や中性子を作っているらしいことが間接的に実証された。しかし,どうもクォークは陽子や中性子の中から単独で取り出して来ることは難しいらしい。直接観測が難しい(あるいは不可能なのか?)。この辺りのことは,この後,語源の話を進めて行く中で印象的な事態だと感じることになろうかと思う。少し記憶しておいて頂ければ幸いである。次回以降,再び,語源の話に戻しながら,いずれ全体論と要素還元主義の話に戻そうと思う。